経営事項審査(経審)を受けて点数が出た——ここで「これで入札に参加できる」と考えてしまう方が多いのですが、まだもう一段階あります。

公共工事の入札に参加するには、発注機関ごとに入札参加資格審査を申請し、有資格者名簿に登録してもらう必要があります。この記事で、経審の後にやるべきことを整理します。

経審と入札参加資格申請は別の手続き

まず両者の関係を押さえておきましょう。

経営事項審査(経審) 入札参加資格審査申請
目的 会社の客観的な点数を出す 発注機関の名簿に載せてもらう
申請先 許可行政庁・登録分析機関 入札に参加したい発注機関ごと
位置づけ 入札参加資格申請の前提 実際に入札するための手続き

つまり経審は「共通の成績表をつくる手続き」、入札参加資格申請は「その成績表を持って各発注者に登録を申し込む手続き」です。

発注機関ごとに申請が必要

ここが最大のポイントです。入札参加資格は発注機関ごとに個別に申請します。

  • 国の機関(各省庁・地方整備局など)
  • 都道府県(福岡県・鹿児島県など)
  • 市町村(福岡市・北九州市・鹿児島市など)
  • 独立行政法人・公社などの機関

福岡県の工事を受注したいなら福岡県に、福岡市の工事も狙うなら福岡市にも——というように、参加したい発注者の数だけ申請が必要です。「県に登録したから市も大丈夫」ということはありません。

自治体によっては共同で受付を行っている場合もありますが、原則は個別申請と考えてください。

申請時期——定期受付と随時受付

申請時期は発注機関によって異なり、大きく2つのパターンがあります。

定期受付

決まった時期にまとめて受け付ける方式で、ほとんどの機関がこれにあたります。サイクルは機関によって大きく違います。

  • 福岡県・鹿児島県:毎年申請(有効期間1年)
  • 市町村・国の機関:2年ごとが多い(福岡市・鹿児島市・九州地方整備局など)

福岡・鹿児島で公共工事を狙うなら、県の資格は毎年更新が必要という点をまず押さえてください。「一度取れば2年は大丈夫」という思い込みが、資格切れのもとになります。

受付期間の長さも機関によってさまざまです。鹿児島県は3〜4週間程度と短い一方、福岡県は数ヶ月にわたる長い受付期間を設けています。この期間を逃すと次の受付まで待つことになりかねないため、狙う機関のスケジュールは事前に確認しておきましょう。

随時受付

定期受付の期間外でも申請を受け付ける方式です。ただし新規参入業者が使えるとは限りません。

たとえば福岡県の特例申請は、事業譲渡・合併・会社分割・会社更生・民事再生といった事業承継や再建にともなうケースに限られており、新規参入では利用できません。一方、国(九州地方整備局)は一般的な随時受付を行っています。

発注機関ごとに受付方式・時期・提出方法(電子申請かどうか)が違うため、狙う機関のホームページで年間スケジュールを確認しておきましょう。

等級(ランク)はどう決まるか

入札参加資格を得ると、業種ごとに等級(ランク)が付与されます。どの規模の工事に入札できるかがこのランクで決まります。区分の数も基準点も機関・業種ごとに違い、たとえば福岡県では土木一式がA〜Dの4区分、建築一式がAa〜Dの5区分です。

ランクは、経審の総合評定値(P点)を基礎に、発注機関独自の主観的評価点を加減して決まります。福岡県の主観点には、たとえば次のような項目があります。

  • その発注機関での工事成績評定(前年度1月末以前の2年間に完成した県工事が対象)
  • 防災協定の締結、道路・河川愛護活動などの地域貢献
  • 障がい者雇用、女性の活躍推進、子育て応援などの取組
  • 労働安全衛生・環境・事業継続力強化・SDGsなどの取組

加点だけでなく減点もあります。福岡県では指名停止を受けると、その月数に応じて主観点が引かれます。

つまり同じP点でも、発注機関によってランクが変わり得るということです。特に工事成績評定は、実際に受注した工事の出来栄えが次の受注機会に跳ね返る仕組みなので、公共工事に本腰を入れるなら意識しておきたい項目です。

なお「地元企業であること」は主観点の項目ではなく、申請区分(県内本店か県外本店か)や個別入札の地域要件として効いてきます。

有効期間と更新

入札参加資格にも有効期間があり、2年間としている機関が多いです(機関によって異なります)。

注意したいのは、経審の有効期間との二重管理が必要な点です。

  • 経審:審査基準日(決算日)から1年7ヶ月
  • 入札参加資格:機関ごとに定められた期間(2年など)

経審が切れると入札参加資格も維持できなくなるため、実務では毎年経審を受け続けながら、機関ごとの更新時期にも対応するという運用になります。経審の記事で触れたとおり、決算変更届の遅れがすべての起点になるので注意してください。

公共工事に参入するまでの全体像

はじめて公共工事を目指す場合、次の順番で進みます。

  1. 建設業許可を取得する(新規取得の流れ)
  2. 決算変更届を提出する(経審の前提。初回は2期分必要)
  3. 経営事項審査を受ける(経審の記事)
  4. 入札参加資格を申請する(この記事)
  5. 名簿に登録され、入札に参加できる

許可取得から数えると、実際に入札できるようになるまで1年以上かかることも珍しくありません。「来年度から公共工事を」と考えるなら、逆算した準備が必要です。

まとめ

  • 入札参加資格申請は経審とは別の手続きで、発注機関ごとに個別申請
  • 多くは定期受付で、受付期間を逃すと次の機会まで待つことになりかねない
  • ランクはP点+発注機関独自の主観点で決まる
  • 経審と入札参加資格の二重の期限管理が必要

行政書士法人アクティスでは、経審から入札参加資格申請まで一貫してサポートしています。「どの発注機関に登録すべきか」「いつまでに何を準備すればよいか」という段階からご相談いただけます。福岡・鹿児島の2拠点で、九州全域に対応しています。