「更新の案内が来たので準備を始めたら、決算変更届を何年も出していないことがわかった」——更新期限の直前に発覚する、いちばん多いトラブルです。

決算変更届は、建設業許可を持つすべての事業者に毎年義務付けられている届出です。この記事で、期限・必要書類・出し忘れたときの対処法を整理します。

決算変更届とは

決算変更届(事業年度終了届)とは、事業年度が終わるごとに、その年度の工事実績と財務内容を許可行政庁に報告する届出です。「変更届」という名前ですが、何かを変更したときに出すものではなく、決算を迎えたら毎年必ず提出するものです(呼び方は自治体によって異なり、福岡県では「決算終了後の変更届」とも呼ばれます)。

  • 提出期限:毎事業年度終了後4ヶ月以内
  • 提出先:許可を受けた行政庁(知事許可なら都道府県)

3月決算の会社なら7月末まで、12月決算なら4月末までが期限です。

出し忘れるとどうなるか

1. 許可の更新申請が受け付けられない

いちばん大きな実害はこれです。未提出分をすべて提出しない限り、許可の更新は受けられません(鹿児島県は「過去5年分の決算変更届が提出されている必要がある」と明記しており、福岡県も未提出の場合は更新が受けられないことがあるとしています)。更新は有効期間満了の30日前までに申請する必要があるため、未提出分が数年たまっていると、更新期限までに間に合わせる作業が一気に発生します。

最悪の場合、更新できずに許可が失効し、新規で取り直しになります(許可が切れた場合の記事で詳しく解説しています)。新規取得の要件と費用については申請の流れの記事のとおりで、更新よりはるかに大きな負担です。

2. 業種追加などの申請もできない

業種追加や般特新規(一般から特定への切り替え)でも、実務上は未提出分の提出を先に求められるのが通常です。

3. 罰則の対象になりうる

決算変更届の提出は建設業法上の義務であり、提出しなかったり虚偽の記載をしたりした場合の罰則として、6月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が定められています(建設業法第50条)。しかも建設業法違反で罰金刑を受けると欠格要件に該当し、許可の取消しにつながりかねません。実務でいきなり罰則が科されるケースはまれですが、単なる努力義務ではない点に注意が必要です。

4. 公共工事への参加に影響する

経営事項審査(経審)は直前の決算変更届の内容とつながっており、福岡県では決算後の変更届を提出していないと経審を受審できないと明記されています。公共工事への参入を考えている場合、決算変更届の管理は経審のスケジュール管理と一体で考える必要があります。詳しくは経審を受けるための決算変更届をご覧ください。

必要書類

主な提出書類は次のとおりです(都道府県によって細部が異なります)。

  • 工事経歴書(その年度に施工した工事の一覧)
  • 直前3年の工事施工金額
  • 財務諸表(建設業法の様式に組み替えたもの。税務申告用の決算書そのままでは提出できません)
  • 事業報告書(特例有限会社を除く株式会社の場合)
  • 事業税の納税証明書

注意したいのは財務諸表です。税理士が作る決算書とは様式も勘定科目の分類も異なるため、建設業会計への組み替え作業が必要になります。ここが自社対応でいちばん手間のかかるポイントです。

数年分たまってしまった場合の対処法

未提出分がたまっていても、さかのぼってまとめて提出すれば更新は可能です。あわてて廃業する必要はありません。

ただし、年度ごとに工事経歴書と財務諸表一式を作成するため、作業量は年数分に比例して増えます。更新期限が迫っているケースでは、時間との勝負になります。

行政書士法人アクティスでは、決算変更届の作成・提出を1期分49,500円(税込・知事許可)で代行しています。複数年分のまとめ提出や、更新とセットでのご依頼も対応可能です。「何年分たまっているかわからない」という状態でも大丈夫ですので、更新期限が来る前にお早めにご相談ください。